今なら言えるあの事


ずっと昔、高校生の頃のお話ですが。。。
お友達に谷野さんって女の子がいたんです。
彼女は地味で口数が少なくて、体はがっしりしていて頭が良くて優しくて、大好きだったんです。
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私はちょっと世間を斜めに見ている生意気な高校生でしたが、谷野さんと私は正反対だけど何だか気があってました。
そのころはお小遣いも月に5,000円くらいで当時のマックは今よりお高い、まだマックが日本でスタートしたばかりで、マックシェイクが200円、今100円だもんね。
とにかくお金がない、しかしこの性格だからバイトもないし。
毎日の通学の電車は京都競馬所の最寄の駅から一駅の所にあった立地から、競馬に行くおっちゃん達の話を自然と小耳にはさんでしまう、そのうちに競馬というものに対して耳年増になって、とうとう競馬について雑誌を買って勉強を始めてしまった、私。
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当時の高校はある程度の偏差値をキープしてたら、早退しようが遅刻しようがそうそううるさくなかったのよ。
友達を巻き込んで、馬券を買うことになって、8人で1000円づつ競馬新聞を見ながら、よし、これを買うと、勉強しないで図書館で馬会議をしてました。
当時人気のハイセイコーはそれはそれは美しいセラブレッド、当時は子供でもその名をしっているほど有名な競走馬でした。
そして知ったばっかりのオッズというものを見て、私が代表で京都競馬場のある京阪線の淀駅へ行きました。

もちろん、連勝複式なんて知らないから、これっと決めた馬を買う、単勝あれですね、ハイセイコーを買うことにしておこづかいを増やそうと行きました。
そうしたら、その日の競馬は京都競馬場ではなかったのよ、私達は競馬場は京都だけだと思っていたから、馬券は買えないと残念に思いながら歩いていたら、新聞広げて予想しているおっちゃんがいたのよ。
そお~と遠巻きに聞いていたら、どうやら馬券だけは買えるみたいで探しながら馬券売り場へ行くと、出走馬が書いてある。

もちろん一番人気はハイセイコー、そしてタケホープ。

ふっと、みるとタニノチカラ? タニノ? 牝馬? 
写真を見て歩くと、ハイセイコーは誰が見ても申し分のないフォルム、まさにサラブレッドですよ、それに比べてタニノチカラは胴体がもっさりしてて、どことなく足も短い、その上頭がデカい、不細工な馬なんですよ。

もう一回予想やさんがずらっと並んでいるところに戻って、おっちゃん達の前予想の話を聞いていると、やっぱりタニノチカラはハイセイコーには勝てないのが決まりのようなお話で、しかもタニノチカラはこれまでに足を二度骨折しているらしい。
しかしな~タニノチカラと言う名前がどうしても頭から離れない。

まだ出走までに1時間あるから、まだその辺をうろつく私、そのうちにノミヤというのも意味がわかってきたのよ。
人から頼まれたのを自分で飲んでしまって、その馬が負ければその掛け金は全部自分の物になるという事、なるほど。
世の中いろいろ考える人がいるんですよね、そうしたら友達から預かってきたお金を全部私がもらって、ハイセイコーが勝てば
それを返せばいいんだわと悪魔のささやきが私を引きずり込む。
1000円で馬券を買ってハイセイコーが勝っても戻るお金は1200円程度だけなんですよね、それなら小遣いで返せるしな、な、なと心は決まる、全部タニノチカラに賭けよう。

ちなみにお友達の谷野さんは馬会議には入ってきませんでした、真面目で一途な彼女でしたよ。

さて、やっと馬券を買う事になりましたが、買い方がわからない、おっちゃん達を見ていると3-8を20とか5-5同枠で50とかまるで暗号のように言いながら窓口で買っている。
一番端の優しそうなおじさんの所へ行って、「タニノチカラを8000円分下さい」と恐々伝えると、まあ怪訝な顔しますよね、それでも800円分売ってくれました。
その時にドキドキしたのは後にも先にももうないと、カチカチ固まりながらに歩いてその場を離れました。

さあ、各馬一斉にスタートです、京都競馬場に大きなモニターもあり、あちらこちらに画面があっておっちゃん達に混じってその画面を見てました。
3番がタケホープ、もうずっと先頭だったから、もうだめだな~と思っていたら、出るわ出るわ最後に4番タニノチカラがこれがゴボウ抜きって感じですね。
これはYOU TUBEの動画ですが、私が京都競馬場で観ていた時はあまりタニノチカラが映ってませんでした。


タニノチカラは4番なのよ、激しい口調のテレビのアナウンスでアナウンサーが避けんでる「強い~タニノチカラ ああ~タニノチカラ~タニノチカラ」と聞こえるんだけど、スクリーンには4番の馬が映っていない。
最後にアナウンサーの絶叫でタニノチカラが勝ったのがわかりました。

その後も、競馬場に通いつめ、パドックで馬友達のおっちゃんやらと馬を見ながら「うん、まだ仕上がりが甘いんちゃう? パスターンも弱いしなあ~」と会話ができるようになりました。


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その後もタニノチカラは頑張ってくれて、とにかくこの女子馬は体形はイマイチだけど、先行馬の跳ね上がる泥も砂もへっちゃらでハイセイコーが滑るように走るならこの女子馬は地面をがっつり掘っているんではないかと思うくらい力強い。
出走前も他の馬がピリピリしているのを騎手が首をなでたりして落ち着かしてるけど、この女子馬はホワ~ワンとあくびしてるくらい動じてない。
先行で何頭かの馬が前を走るとその飛んでくる泥や砂は凄いのよ、もうバシャバシャかかる、それでも目をむいて鼻広げて「おら~」「そこ、どかんかい~」「うりゃ~」 走る農耕馬のように凄い迫力でした。
やっぱり関西馬のメスでした。


次回かまたそのうち、香港在住時代の香港競馬場のお話を。。。







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